2020年04月02日

「お召し」

小松左京の「お召し」という短編がある。ずいぶん昔に読んだので記憶が曖昧になっているけれど、ある日突然、12歳以上の人間が消えてしまった世界の話だったと思う。

世話をしてくれる大人を失ったことを受けとめた子供たちは覚悟を決め、自分たちで知恵を出しあって社会を構築しはじめる。

社会は機能していき、長い時が経って、やがて大人という存在がいたことも忘れられていった。赤ん坊は、どのようにしてか、ふいにこの世界にやってくるのだ。

だが人々は12歳になると、この世界からふっと消えてしまう。このことは「お召し」と呼ばれていた。

機構のトップの立場にある少年(その世界では成年)は、ふと思う。どこかに、自分たちよりも大きく賢い存在がいるような気がする....
それにこの頃高い声が出しにくい、これも「お召し」が近いせいだろうか....


大人たちの次元がどうなったのかは、物語には書かれていないので想像してみるだけだ。
赤ん坊は生まれたとたん姿を消してしまう。そしてある日突然、12歳の賢い少年少女が現われるとしたら....
すでに「お召し」を通過した大人たちは、彼らををどのように迎えるのだろう....


子ども時代が終わるのはいつか、ということでは、ある印象的な体験がある。
6年生の終わり頃だったか、夜中に部屋でこっそりラジオを聴きながら思った。

「小さい時は、おとなはおそくまで起きていられていいなあ...なんて思っていたけど、今こうして夜中にこんなものを聴いていても、たいして素敵なことではないな....」

そう思った時、なんだか子ども時代が去っていくのを見送っているような気がしたのだった。


SFというジャンルはこれまで扱ってこなかったが、私は10代の頃には海外物をけっこう読んでいた。日本の作家では光瀬龍が好きだった。
新しくSFカテゴリを作ってみたけれど、たぶんめったに更新されない気がする....
   
posted by Sachiko at 21:58 | Comment(0) | SF