2018年07月23日

いちばん美しい青空

昨日からの流れで、今日も空の話。
大林宜彦監督が昔こんなことを話していた。

「カラー映画の青空は、それが撮影されたその時、その場所の空だ。でもモノクロ映画の青空を見る時には、人は自分の知っているいちばん美しい青空を思い浮かべる。」

それを聞いて私が思い浮かべたのは、「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンがアイスクリームを食べている、スペイン階段の上に広がる青空だった。

モノクロ映画では、色彩を想像力で補完しなくてはならない。
空の色は、「その時、その場所」という限定されたリアリティを離れて、見る人それぞれの内界から取り出す。取り出してくる色は、それぞれのイメージ、思い出をまとっている。それによって、いちばん美しい空の色は作り出されるのだろう。

もうひとつ、古いフランス映画「自由を我等に」を思い出す。二人の囚人が脱走を企てる、コメディ仕立ての映画だ。塀の外に出たひとりが木陰の草の上に寝ころぶと、上には揺れる緑の枝が光を浴びて輝いている(緑と書いてしまったがモノクロだ)。

あの緑の枝葉は、ほんとうに美しかった。
モノクロという不完全さゆえに、見る人は内的な作業を行うことで、ある意味映画の完成に参加することになるのかもしれない。
自分の想像力をもって、完成させる....物語を読むという作業もそうだ。
あまりに技術的な外的完成度が高く、内面の作業を必要としない映像作品の場合は、私はよそよそしく感じてしまう.....
  
posted by Sachiko at 22:49 | Comment(2) | 映画