2020年10月21日

秋の火

秋という字には、火が入っている。
木々が紅葉することから来ているのだろうが、自然界が燃焼するのは夏で、秋はそのあとの灰の季節なのだそうだ。

季節の気分というものは、言葉にしがたいけれど確かにある。
秋の湿った土から立ち昇る冷気は、落ち葉が分解していく独特の香りを運ぶ。

それらも、立ち止まって感じようとしなければ、日常の慌ただしさの中で気づかずに通り過ぎてしまうだろう。

秋の夕刻に蝋燭(キャンドルよりこう呼びたい)に火を灯すと、季節の気分はいっそう色濃く浮かび上がる。

かつて暮らしの中には生きた火があり、炉辺の物語は、年長の人々から生きた声で語り伝えられた。

都会生活からはいつの間にか、ほんとうに生きているものがとても少なくなってしまった。

自然霊たちは、人間の意識を必要としている。
世界各地の大規模な山火事などは、人間とのつながりを失ったサラマンダーの嘆きの叫びではないのかと思う。

地水火風が自然界の構成要素なら、それは当然、自然の一部である人間自身の構成要素でもある。

それらが調和のとれた姿をしていることは、人間社会のためだけでなく、宇宙的なバランスのために必要なのだ。

秋、せめて小さな火を見つめ、耳を傾けてみる。

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posted by Sachiko at 22:15 | Comment(4) | 季節・行事
2020年09月30日

中秋の名月

今年の十五夜は10月1日。
当地では明日は曇りらしいので、晴れている今日のうちに月を見ておいた。やはり季節行事というのはいいものだ、と思う。


昔、函館のカトリック教会が運営する老人ホームの園長(確かフランス人の神父さんだった)が、「ホームでは、カトリックのお祭りは全部やる。そして日本のお祭りも全部やる。」と言っていた。

カトリックの行事に加えて、ひな祭りも七夕もお月見もあるのだ。一年中お祭りだらけで楽しそうだな、と思った。


ススキを漢字で書くと、薄(「ススキノ」のススキはこれだ)、あるいは芒。

芒はノギとも読み、イネ科の植物の多くに見られる、実の粒の先に付く針状の突起だ。
イネ科の植物は光と密接な関係があるという。

麦のノギが放射状に伸びている姿は、光を思わせる。
クリスマスに麦の穂を飾るのは、そういうシンボル的な意味もあるらしい。

十五夜にススキを飾ることの意味には諸説あるが、一説では、ススキの穂を稲に見立てて豊穣を祝うものだとされている。

近場にススキが生えている場所がなく、かなり遠くまで採りに行ってもらった。
やはり十五夜にはススキがなくてはいけない。
  
posted by Sachiko at 22:15 | Comment(2) | 季節・行事
2020年09月08日

虫の音

夜になると聞こえてくる虫の音が、あたり一面で鳴いているかのように響くことがある。

小さな庭なのでそんなにたくさんの虫はいないはず...近所の庭の分もいっしょに聞こえていると思うのだが、窓を開けていると、まるで野原で寝ている気分になる。

虫の声を、ノイズではなく文字通り声のように聴くのは日本人だけと言われているが、そうなのだろうか。

古い英詩かドイツ詩の中に、虫の音のことが書かれたものもあった気がする。詩人の感性はやはり常人とは違ったのだろう。
虫の音が、心地よい秋の“声”に聞こえるのは素敵なことだ。

草むらの中にいる秋の虫は見つけにくい。
時折小さなバッタが姿を現す。鳴いている虫は他に数種類いるようだ。

今週の残暑が過ぎると、季節は一気に秋に向かっていく。
木々もブドウの実もうっすらと色づいてきた。


美しいけれど物悲しい....
メンデルスゾーンの『秋の歌』


  
posted by Sachiko at 21:33 | Comment(0) | 季節・行事
2020年08月23日

ゆっくりと、秋...

朝の真っ青な空も、少し冷んやりと乾いた空気も、秋の気配になっている。

昼間はまだ気温が高い日がありそうだけれど、秋の虫はとっくに鳴いているし、ほおずきも色づいている。

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ブドウの実もふくらんできた

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赤トンボ

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色づいてきたブラックベリー

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夕空には月齢4の月。
今年の十五夜は10月にずれ込む。
その頃まだ、穂が開ききらないススキが見つかるだろうか。

こうして今年も秋が廻ってくる。
宇宙的ないとなみのもとでは、地上の喧噪など何ほどのことでもないかのようだ。
   
posted by Sachiko at 22:04 | Comment(2) | 季節・行事
2020年04月12日

イースターの花たち

イースターサンデーなのに、きっと世界各地ではイースターのミサも中止になっているのだろう。

イースターの定番の花、黄色い水仙も、ここではまだつぼみが付きかけたばかりだ。

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鮮やかな花が咲き誇る前の、
小さな黄色い花、小さな青い花。

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今年もバラの木の下に、妖精たちへの贈りもののキャンディやチョコレートを置いておいた。
春の歓びが帰ってくるように。

でも今年は、イースターのパン、ホット・クロス・バンズを焼くのをすっかり忘れていた....
  
posted by Sachiko at 22:30 | Comment(0) | 季節・行事