
冬の夜ふけ、とうさんと“わたし”は、みみずくを探しに森へ出かけた。
みみずくに会いにいくときは、しずかにしなくちゃいけない。
森につくと、とうさんは、わしみみずくの声で呼びかけた。
“ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーう”
それからもずんずん歩いて、森の中にはいりこむ。
森のあき地を、真上から月がてらして、雪はミルクより白い、まっ白。
もの音を聞きつけて、とうさんは呼びかけた。
“ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーう”
へんじが、かえってきた。
“ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーう”
とうさんとみみずくは、おしゃべりしているみたい。
みみずくの声は近くなり、とつぜん、わたしたちの真上をとんだ。
木のえだにとまったみみずくと、わたしたち、じっと見つめあった。
やがてみみずくは、おおきなつばさ動かして、森のおくへと帰っていった。
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みみずくに あうときは
おしゃべりは いらないの
あいたいな あえるかなって
わくわくするのが すてきなの
それが とうさんに おそわったこと
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これまでも何冊か紹介した、ジェーン・ヨーレンの作。
冬の森は、静かで、美しく、厳かだ。
そこに息づくものたちも、威厳に満ちている。
森の生きものたちに会いたければ、その威厳に敬意をはらい、ふさわしい態度で近づかなくてはならない。
凍てつく冬の夜、少女は初めてみみずくに会いにいく。
針葉樹の暗い影と、真っ白に輝く雪。
木の祠から顔をのぞかせる小動物....
そして、大きく翼を拡げたみみずく....
けれど冬の森に、多くの言葉はいらない。
それ自身が語る沈黙で十分だ。
北海道にのみ生息するシマフクロウは、昔ずっと「縞フクロウ」だと思っていたが、後日「島フクロウ」だと知った。
これも絶滅危惧種だ。営巣できる場所が少なくなってしまったのだ。
野生の生きものたちが生き延びるためには、人間も自分のほんとうの姿を思い出さなくてはいけないだろう。