見える世界と見えない世界、世界が二つあるのではなく、それらは一体で、一方だけでは存在し得ない。
早春、草木が芽吹き、最初の花が咲く。
花は見えるけれど、花を咲かせるはたらきは見えない。
人間はいつからか、見えないものは存在しないことにしてしまったので、とても非現実的で危険な生き方をすることになった。
一枚の葉っぱの霊性。
一粒の雨の霊性。
一陣の風の霊性。
それらは見える部分よりもはるかに大きい。
太陽や月、遠い星々も、地上の小さな花と手を取りあう。
見えないものに取りまかれた暮らしは豊かだ。
これはずいぶん昔に書いたもので、たぶんここには載せていなかったと思う。
〈妖精と暮らす〉
水や風 鳥や虫や花々の
いのちのながれを司り
人の働きを助ける
忘れ去られた彼方に
時を分かちあっていた
ちいさな者たち
庭を舞う
金に輝く夏の花粉の
あるいは
部屋の隅の翳りの中に
棲みつづけ
古い知恵を伝える者たちの
言葉に 耳傾けて
今ひとたび 妖精と暮らす
2022年04月06日
見えないものたちとの暮らし
posted by Sachiko at 21:47
| Comment(2)
| 妖精
気持ちが高ぶっている時に読んで
落ち着きました。
ずいぶん昔に書いたものですが、
いつも周りに妖精たちを感じていたいと思います。