2020年12月13日

「森の少女ローエラ」

マリア・グリーペの「森の少女ローエラ」。
スウェーデンでの初版は1970年で、「夜のパパ」シリーズとほぼ同じ頃だ。

主人公のローエラは12歳、森の中のあばら家で、まだ赤ん坊に近いような幼い双子の弟たちと暮らしている。

母親は外国を廻る船で炊事婦として働いていて、もう長いこと帰って来ない。父親は行方不明だ。しかも弟たちとは父親が違うらしい。
学校に行っていないローエラのことを、村人はあれこれうわさしている。

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みんなはローエラをきらっている。でも、それがどうだというのだろう?
あたしだって、みんなのことががまんならない。どれもこれも、ばかで気どりやの偽善者ばかり。あたしにはよくわかる。

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ママは10月には帰ると約束したのに、もう11月だ。手紙もこない。
ローエラはママへの心配を怒りに変えて発散する。

アディナおばさんが、ときどき食料などを持って世話をしに来る。
おばさんは家に引っ越して来るように言うが、ローエラは森の家でママを待ちたい。

事件の少ない村で、ローエラは人々の興味を引いていた。村人たちはあれこれ意見を言いあうが、本当のところ、誰もローエラのことをよく知らない。


気だてのよくない、気性のはげしい孤独な少女。
またしても、マリア・グリーペは、世間受けしなさそうな子どもを主人公にしている。

けれど、世間の人たちの気に入る基準は何だろう。
人々は、いつも安心していたいのだ。自分がすでに知っているもの、受け入れられる範囲のものの中にいて、不安を掻き立てるような未知のものと関わりたくない。
その不安のありかは彼ら自身の中で、ローエラとは何の関係もないのだが。

村人たちの鈍感さと対照的に、自分自身と弟たちを守り抜こうとするローエラの世界は生き生きとしている。
ローエラは森と親しい。森はキノコや木いちごを与えてくれる。
それなのに、この森の家を出なければならなくなりそうだ。

この物語も、続きはまた少しずつ....
  
posted by Sachiko at 21:35 | Comment(2) | マリア・グリーペの作品
この記事へのコメント
秩序の世界の内に生きる者

外の世界に生きる者。

この構造は
いつの時代も
形を変えながら存在する。

秩序の世界の外縁で生きる者たちには
本当の自由があり
異界と通底し
秩序のナンセンスを見抜く。
たとえ
卑しい者
変わり者
とさげすまされても・・。
Posted by しゅてるん at 2020年12月16日 07:34
>秩序のナンセンスを見抜く。
>たとえ
>卑しい者
>変わり者
>とさげすまされても・・。

これは、まさにそのような物語です。
少女は村人からさげすまれていますが、
村人たちが抱いているのは「恐れ」かもしれません。
安全な秩序から
自由の縁へ踏み出して行くことへの。
Posted by Sachiko at 2020年12月16日 22:15
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