2020年02月21日

「ルンペルシュティルツヒェン」

グリムのメルヒェンの中で「ルンペルシュティルツヒェン」は、ドイツの子どもたちにはなじみ深いお話らしいけれど、発音しにくく聞き慣れない名前だからか、日本ではさほどメジャーではない。


・・貧しい粉ひきに、美しい娘がひとりいた。
この粉ひきが王さまに会ったとき、「娘は藁をつむいで黄金にすることができる」と言ってしまい、王さまは娘を連れてくるように言った。

王さまは娘に部屋いっぱいの藁と紡ぎ車を渡し、明日の朝までに藁を金にできなければ、お前の命はない」と言い渡した。

娘が途方に暮れて泣いていると、小人がひとり入って来た。小人は、娘の首飾りと引き換えに、朝までに藁をすっかり金に紡いだ。

それを見てもっと黄金が欲しくなった王さまは、さらに大きな部屋いっぱいの藁を紡ぐようにと娘に言った。
娘の指輪と引き換えに、小人は藁を金に紡いだ。

三日目、娘はもっと大きな部屋に連れて行かれた。もう小人にあげられるものはない。小人は、娘が王さまのお妃になったら最初の子どもをくれるように言った。娘は約束し、小人は朝までに金を紡いだ。

王さまは娘と結婚し、一年後に子どもが生まれたが、お妃は小人のことなど忘れていた。
そこへ小人が現われ、約束のものをくれるよう要求した。

お妃があまりに嘆き悲しむので、小人は三日だけ待ってやることにした。「そのあいだに自分の名前を言い当てたら、子どもを取らずにおこう」と小人は言った・・・


ヨハネス・W・シュナイダー著「メルヘンの世界観」の中では、このように語られている。

藁とは何か....実を取ったあとの残滓、生命がなくなって形だけがそこにあるものだ。
藁を紡いで金にするというイメージは、形骸化した命のない世界に永遠の生命あるものを与えることを示唆する。

以前「ホレおばさん」のところで、メルヒェンにおける黄金には、世界のはじまりから存在していた古い黄金と、地上での生活を通して新たに紡ぎだされた黄金の二種類あるという話を紹介した。

ここでは、娘が持っていた首飾りや指輪が古い黄金で、藁から紡ぎ出されるのが黄金が新しい黄金として描かれている。
人間が未来へと進むためには、すでに持っている過去からの財宝をいったん背後に置いて世界にゆだねる必要があるのだという。


だがメルヒェンを現代的な頭の知性で解釈し理解することは、ともすれば本道からずれてしまう。
藁を紡いで、それを輝く黄金に変える....
このイメージをしばらく内側に響かせてみるとき、そこにある種の体験が浮かび上がってくる気がする。
古い時代の人々は、この内的な体験によってメルヒェンが語ることを直接理解できたのだろう。

お妃は小人の名前を言い当てられたのか.....話は続く。
  
posted by Sachiko at 21:55 | Comment(0) | メルヒェン
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