2020年02月13日

氷姫の謎

「ムーミン谷の冬」より

ムーミンが外へ出ていくと、見たことのない真っ白な馬がベランダのそばに立っていた。「こんばんは」と近づいてみると、その馬は雪で作られたものだとわかった。

冬は、ムーミンには見慣れないものばかりだ。
トゥティッキは、馬は自分が作ったものだと言う。

「わたしたち、今夜あのうまに川の水をかけてやるのよ。そうすると、うまは夜のあいだにこおって、全身氷になってしまうの。
そうすると、氷姫さまがやってきて、あれにのってはしっていって、それっきりもどってこないのよ。」

また奇妙なものが現われた。雪の馬に乗って走る氷姫....
この白い馬のように、雪像は水をかけて凍らせなければしっかりとした像にならない。

その日の夕方、トゥティッキは氷姫がやってくるのをかぎつけた。氷姫は、こわいけれど、とてもきれいな人だという。

「だけど、もしその人の顔を見つめたら、あんたはこおりついてしまいますよ。・・だから、今夜は外へ出たらだめよ。」

氷姫とは何者なのだろう。見る者を凍らせてしまうといっても、モランとは性質が違う。
おそろしいが、美しい。厳しい冬そのもののように。

それから何日かあとに、トゥティッキはムーミンに言う。

「あんたのお日さまは、あしたかえってくるはずよ。」

戻ってくる太陽を迎えるかがり火を焚く前に、氷姫が来て、去っていく。
氷姫は、極夜が明ける前に最後にやってくる北極寒気団の化身のようにも思える。氷姫が現われるのはこのとき一度きりだ。

ムーミン谷の極夜は何日くらい続くのだろう。極夜は一日中真っ暗なわけではなく、太陽は見えないけれど昼間は薄明るく、日の出前なのか日没後なのかわからないあいまいな明るさなのだそうだ。

「ものごとってのは、みんな、とてもあいまいなものよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけれどもね。」
そう言うトゥティッキは、きっとこの地の冬を知りつくしているのだ。


先日の厳寒から一転して、今日の最高気温は8.5度、3月下旬並みの暖かさだった。この冬はこうして何度も眠りを中断されるように真冬日が中断される。
北極寒気団でもシベリア寒気団でも、冬にはもう少し落ち着いて居座ってほしいのだけれど.....
  
posted by Sachiko at 22:01 | Comment(0) | ムーミン谷
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