2019年08月25日

木いちごの葉

「ムーミン谷の夏まつり」より。

スナフキンが24人の子どもたちを連れてボートで劇場へ向かう途中、いちばん大きな子がスナフキンにプレゼントを差し出した。

「これ、たばこ入れです。ぼくたち、みんなで、ししゅうしたの、こっそりと。」(それはフィリフヨンカの古い帽子のひとつだった)

「日曜日にすう、木いちごの葉っぱですよ!」と、いちばん小さな子が叫んだ。

スナフキンのライフスタイルに平日と日曜日の区別があるのかどうかわからないが、木いちごの葉っぱのたばこというのは、似たような話がどこかにあった。

マリア・グリーペの「夜のパパ」の中で、夜のパパ・ぺーテルは、たばこの代わりにコケモモの葉やミントの葉をパイプに詰めて吸っていた。北欧では一般的だったのだろうか。

ところで前回、スナフキンは子どもたちをほうり出してボートで去ったわけではなく、劇の舞台に出ていたムーミンママに、子どもたちの面倒をみてくれるように託したのだ。

「あの子たち、スナフキンがいなくて、さびしがるだろうなあ。」とムーミンが言った。

「たぶん、はじめのうちはね。でも、スナフキンは毎年、あの子どもたちに会いにいくし、みんなの誕生日には、手紙を書くつもりだって。絵のついた手紙をね。」とムーミンママは言った。

すべての出来事が収束していった晩、ムーミンがスナフキンにおやすみを言いに行くと、スナフキンは川原でパイプをくゆらせていた。

「いままでとちがうたばこを、すいはじめたの?ちょっと、きいちごみたいだね。それは、上等?」

「いや、だけど、日曜日だけはこれをすうんだ。」

24人の子どもたちの話はこれきり出てこないが、ふだんは人の世話などまっぴらで、親友のムーミンにさえ、旅立つ前に短い手紙を残していくだけのスナフキンに、手放した子どもたちの影が残っている。

こうして夏まつりのドタバタは、最後はムーミンが家に戻り、夏の夕刻の穏やかなしあわせ感を感じているところで終わる。

木いちごの葉(ラズベリーリーフ)はハーブとして薬効がある。
循環器系や消化器系にも効能があるが、主に女性のからだにやさしいハーブとして使われる。煙を吸った場合はどうなのかはわからない。
ベリー類は、見た目にも美しく北国の短い夏を彩る。

raspberryleaf.jpg
  
posted by Sachiko at 22:54 | Comment(2) | ムーミン谷
この記事へのコメント
こどものいないひとも
なにかのかたちで
おとうさんやおかあさん
のようなやくわりを
あるときどこかでだれかに
しているのだろう
とおもうのです。

スナフキンのように。

そして
こころのなかには
そのこどもがちいさいすがたのまま
すみついて
なにかあたたかいものを
おくりつづけてくれるのです。

スナフキンがそうであるように。
Posted by しゅてるん at 2019年08月26日 07:23
子どもたちとの一件も、立て札事件も、
いつもの沈着冷静な賢者スナフキンのイメージとは
違った一面が見えて、なんだか思わぬものを
覗き見てしまったような、くすぐったいような、
気分になるのでありました。
Posted by Sachiko at 2019年08月26日 22:00
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