以前「くつやのマルチン」というタイトルで日本語版が出ていたけれど、今はなくなっている。
英語版の「Shoemaker Martin」は、まだ手に入るようだ。
↓画像はドイツ語版

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ある小さな町に住む靴屋のマルティンは、仕事を終えたあと聖書を読んでは心をなごませていた。
ある晩ベッドに入ったあと、マルティンを呼ぶ声がした。
「明日、通りをごらん、おまえに会いに行くよ」
翌朝になってマルティンは、昨夜のことは夢だったのだろうかと思った。
お湯を沸かしながら窓の外を見ると、道路掃除人のステファンが通りを掃いていた。
「ここへ来て温まらないか、ステファン」
熱いお茶を飲んだステファンは、お礼を言ってまた外へ出ていった。
次に彼が窓の外を見たとき、幼子を抱いた若い婦人が立っていた。マルティンは婦人を迎え入れ、スープを食べさせ、子どもを温めるために彼の古いコートと、ミルクを買うための小銭をいくらか持ってきて与えた。
婦人が感謝して去ったあと、マルティンはまた仕事に向かった。やがて通りから声が聞こえた。市場のおかみさんが、リンゴを盗んだ少年をののしり、髪を引っ張っていた。
マルティンはあいだに入って言った。
「おばあさん、あんたがリンゴのためにこの子を罰するなら、わしらの罪のためには何をしなくてはならないだろうね?」
許された少年はおばあさんのカゴを持ってあげ、いっしょに通りを歩いていった。
夕方、後ろの隅に人々が立っていたが、マルティンはそれが誰かわからなかった。
声が聞こえて、暗がりにステファンが微笑んでいた。また別の声が聞こえ、そこには子どもを抱いた婦人が微笑んでいた。
さらに声が聞こえた。市場のおかみさんと、リンゴを持った少年が微笑んでいた。
マルティンは理解した。あれは夢ではなかったのだ。
確かにこの日、イエスさまは彼のところに来たのだ。
彼は座って聖書を読み始めた。ちょうどそこにはこう書かれていた。
「あなたが小さな兄弟のためにしたことは、この私にしたことなのだ」
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バーナデット・ワッツの可愛らしく温かい絵の、クリスマスに読むのにふさわしい絵本。
やっぱり古典には、現代ものにはない、何ともいえない力がある。
妙好人
ですな。
人であることの
原点。
その原点に
立ち返ることが
この時期の意義
なのかな。
そして
また新しい光を
放っていく。
一陽来復
(でしたっけか?)。
一陽来復・・まさに今の季節ですね。