昨日からの流れで、今日も空の話。
大林宜彦監督が昔こんなことを話していた。
「カラー映画の青空は、それが撮影されたその時、その場所の空だ。でもモノクロ映画の青空を見る時には、人は自分の知っているいちばん美しい青空を思い浮かべる。」
それを聞いて私が思い浮かべたのは、「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンがアイスクリームを食べている、スペイン階段の上に広がる青空だった。
モノクロ映画では、色彩を想像力で補完しなくてはならない。
空の色は、「その時、その場所」という限定されたリアリティを離れて、見る人それぞれの内界から取り出す。取り出してくる色は、それぞれのイメージ、思い出をまとっている。それによって、いちばん美しい空の色は作り出されるのだろう。
もうひとつ、古いフランス映画「自由を我等に」を思い出す。二人の囚人が脱走を企てる、コメディ仕立ての映画だ。塀の外に出たひとりが木陰の草の上に寝ころぶと、上には揺れる緑の枝が光を浴びて輝いている(緑と書いてしまったがモノクロだ)。
あの緑の枝葉は、ほんとうに美しかった。
モノクロという不完全さゆえに、見る人は内的な作業を行うことで、ある意味映画の完成に参加することになるのかもしれない。
自分の想像力をもって、完成させる....物語を読むという作業もそうだ。
あまりに技術的な外的完成度が高く、内面の作業を必要としない映像作品の場合は、私はよそよそしく感じてしまう.....
2018年07月23日
いちばん美しい青空
posted by Sachiko at 22:49
| Comment(2)
| 映画
余地は大切ですね。
ゆえに
文章という情報のみで
脳内に映像を結ばせる
読書という作業が
好きなのかもしれないと
思いました。
今は
情報量が
too much・・。
SNSやブログに
画像がつかないと
物足りなく感じる自分に
ある日気づいて
ぞっとしました。
もちろん
画像や映像を
否定するものでは
ないのですが。
想像&創造は、人間にとってとても大切なすばらしい能力♪
それを使わずに済ませる方向へ持っていくような力も一方ではたらいているけれど、引っ張られずにいたいです。