2021年11月01日

残照、残響

それらがあるとき、元になった本体はすでにない。

太陽は沈み、楽器は鳴りやんでいる。

しばし残る余韻も、ほどなく消え去る。


それらはどこへいったのか。


ほんのかすかなもの、意識を向けていなければ気がつかないほどの、短いあいだに消え去るもの。

なのに、時に本体以上の何かをもたらす。

あまりに慌ただしく出来事の真っ只中にいる時には、気づかずに通り過ぎてしまう。

思い出は、できごとが過ぎ去ったあとの余韻の中で静かに醸される。

いちばん暗い季節だという11月は、消えかかる残照、残響のように、どこか心もとない。

nov.jpg
  
posted by Sachiko at 22:28 | Comment(0) | 未分類