2021年03月29日

帰郷の準備

マリア・グリーペ「森の少女ローエラ」より。

白日夢から醒めたローエラは、パパのことを冷静に考え始めた。
こうあってほしいという自分の心に惑わされたことが、今ではわかる。すべては幻だった....

あの晩家が恋しいと泣いていたモナは、もうけろりとしている。でも、モナには頼る人が誰もいない。
ローエラは今になってアディナおばさんのありがたみがわかった。
それでおばさんに、今学期が終わったらすぐに帰ると手紙を書き、森の家の気がかりなことなどを尋ねた。

すぐに返事が来て、すべては無事だとわかった。
町はもうローエラをつなぎとめる力を持たない。
町暮らしで失われかけた自分の力が戻ってくるのを、ローエラは感じていた。

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ローエラが気にかけていたのは、懐かしい森の家と、周りの景色のことだった。

パパ・ペッレリンはまだ立っている?花は咲いた?ライラックはつぼみをつけている?リンゴの木はどうなった?ポーチの脇のアオイは?......


町暮らしで失われかけた力は、どのようなものだっただろう。
町にあるものはすべて何かの代用品のように、ローエラには思えたのだ。
生き生きとした暮らしの代わりの刺激、喜びの代わりの娯楽、気を紛らわすための騒音、そして人はすれ違っても挨拶さえしない。

森は人を自由にし、本質につなぎとめる。森にあるものはすべて生きているか、かつて生きていたもので、ほんものだ。
森に帰ることが決まったローエラからは、内から泉のように湧き出る生命の力がよみがえってくるのが感じられる。
 
posted by Sachiko at 22:09 | Comment(0) | マリア・グリーペの作品
2021年03月26日

青い麦

以前、早春のほんの短い時期だけ花屋さんの店先に出てくる麦を毎年買っていたのだが、数年前から見かけなくなった。

やっぱりこの季節は麦がほしい。というわけでネットで見つけて手に入れた。
そうまでして麦を買わなくてはいけないのか?とも思うけれど、春先の青い麦は捨てがたい。

すっと伸びた鋭い芒は清々しく、空気が浄化されるのを感じる。

イネ科の植物は光と強い結びつきがあり、光条のような芒の姿がそのことを物語っている。

クリスマスの時期に出回る乾いた麦わら細工は、クリスマスキャンドルの灯りに金色に輝く。
暗い冬の中で、クリスマスの光は内的な光だ。

外界の光が明るくなったイースターシーズン、若緑の麦はみずみずしく生き生きとしている
二通りの麦の姿は、対照的なふたつの祝祭のようだ。

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posted by Sachiko at 21:09 | Comment(4) | 自然
2021年03月25日

お知らせ

このブログは、何だかこちらがメインのようになっている感もなくはないけれど、一応HP付属のブログということで、HPのほうのお知らせです。

SHOPに新しいポストカードセットを追加しましたので、覗いてみてくださいませ♪

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posted by Sachiko at 21:23 | Comment(0) | 未分類
2021年03月22日

春の女神

春の女神は軽やかだ。
春分を過ぎると春のスピードが速くなり、残っている雪の量も植物の様子も、日々変化していく。

春分(オスタラ)のサバトの祭壇には春の花を飾るのだが、まだ花は少ない。

スノードロップは塊りになって咲き、プリムローズも咲き始めている。
チューリップが芽を出した。この芽が葉っぱになるまではあっという間だ。

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春の女神といえば、ボッティチェリの「春」を思い出す。
花を撒く女神フローラ、地面を覆う野の花たち。

ラ・プリマヴェーラ---春を表わす言葉はイタリア語が一番美しいと言った人がいた。(BGM ヴィヴァルディの四季より、“春”)

冬は大好きだけれど、もう後ろに置いていこう。
今年初のふきのとうも味わったことだし....

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posted by Sachiko at 22:16 | Comment(2) | 季節・行事
2021年03月19日

なごり雪

昨夜の雪で朝は道路が白くなっていたが、あっという間に融けてしまった。

もう春の力のほうがずっと強くなっている。

球根が転がったのか種が飛んだのか、思わぬところで小さなスノードロップが咲いていた。今年見た最初の花だ。
家の裏にはふきのとうが二つ三つ顔を出している。

自然霊たちが帰ってきた。
土の中や空気の中で、いろいろなことが動きはじめている。
エーテルの流れ、春の匂い。
遠からず、それらは目に見える姿をとって現れるだろう。

札幌で見る雪はまだこれが最後ではないけれど、明日は春分、それから二週間ほどでイースター。

本格的に春が来る。

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posted by Sachiko at 21:17 | Comment(2) | 季節・行事