2020年10月21日

秋の火

秋という字には、火が入っている。
木々が紅葉することから来ているのだろうが、自然界が燃焼するのは夏で、秋はそのあとの灰の季節なのだそうだ。

季節の気分というものは、言葉にしがたいけれど確かにある。
秋の湿った土から立ち昇る冷気は、落ち葉が分解していく独特の香りを運ぶ。

それらも、立ち止まって感じようとしなければ、日常の慌ただしさの中で気づかずに通り過ぎてしまうだろう。

秋の夕刻に蝋燭(キャンドルよりこう呼びたい)に火を灯すと、季節の気分はいっそう色濃く浮かび上がる。

かつて暮らしの中には生きた火があり、炉辺の物語は、年長の人々から生きた声で語り伝えられた。

都会生活からはいつの間にか、ほんとうに生きているものがとても少なくなってしまった。

自然霊たちは、人間の意識を必要としている。
世界各地の大規模な山火事などは、人間とのつながりを失ったサラマンダーの嘆きの叫びではないのかと思う。

地水火風が自然界の構成要素なら、それは当然、自然の一部である人間自身の構成要素でもある。

それらが調和のとれた姿をしていることは、人間社会のためだけでなく、宇宙的なバランスのために必要なのだ。

秋、せめて小さな火を見つめ、耳を傾けてみる。

autumncandle.jpg
  
posted by Sachiko at 22:15 | Comment(4) | 季節・行事