2020年09月02日

月の魔法

グリーン・ノウ物語第3巻「グリーン・ノウの川」より。

オスカーがイグサの繁みの中で見つけた緑色のビンには、羊皮紙の手紙が入っていた。
手紙の最初には、「月の女王の島」と題した、家のシルエットと満月の絵が描かれていた。

「これは、1647年、ペニー・ソーキ―のピアース・マドレー牧師が書きしるす告白であります・・・」

本文はこのように始まっている。
どうやらピアース・マドレー牧師は信じがたい経験をして、誰にも打ちあけることができない思いを手紙に書いてビンに収めたのだ。

「・・・洪水がこの告白を遠くまで運び、時がたって、幸いそれを信じてくださるかたの手にはいるようにと、願っています。」

そうして、手紙は子供たちの手に入った。
三人は満月の夜、何が起こったのかを探ることにした。

グリーン・ノウの近くで恐ろしいことが起こるなんて想像できないと、アイダが言った。

オスカーは言った。

「グリーン・ノウだって世界のはじめからここに建っていたわけじゃない。・・・この家より古くからあったものじゃないかな。なにかとても古くて、わけがわからないようなものなんだ」

月は真夜中に家の上にくるはずだった。

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子どもたちはすっかり月の魔法にかかり、その大むかしからの自然のままの光のなかで起こることは、すべてが正しい調和をもっているように感じていた。
・・・
ふいにアイダが叫んだ。
「わかったわ!グリーン・ノウだって島の上にあるじゃない!あれはここで起こったのよ。」

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月が見せるものは、太陽の下で見るものとはまるで違っている。
これまで子どもたちは、もう夜の力が薄れていく夜明け前や、太陽の光のもとで冒険を楽しんでいた。
出会ったものたちも、奇妙ではあったが恐ろしくはなかった。

だがここに来て、まったく異質なもの、得体のしれない太古の影の中に踏み込んでしまったように見える。
月の光は美しいのか恐ろしいのか、月にはいくつもの顔がある。

ピアース・マドレー牧師の名前は、この後の第5巻「グリーン・ノウの魔女」でも登場するが、それはまた別の機会に。

折しも今日は満月、グリーン・ノウの月の魔法もまだ続く。
  
posted by Sachiko at 21:41 | Comment(2) | ルーシー・M・ボストン