2020年06月01日

ふたつの力・2

どこかでこんな話を聞いたことがあった。

『この地上の力はすべて“押す”力で、純粋な“引く”力は天上のものである。』

地上物質界では、何かを引くためには、まず押さなければならない。
例えば綱引きなら、綱を手で掴むという形で押してからでなければ引くことができない。
人に何かを押しつけるとか圧力をかけるなども、いかにも地上的な力だ....と。


人が純粋に引き合う時、それは美しい関係になる。
弾圧、制圧など押す力が使われると、関係は良いものにならない。
引く力は、魂や愛の領域のものだ。

重たい押す力が主流だった時代は、もう過ぎて行く。
天上の“引く力”は、ファウストのラストの詩を思い起こさせる。

 なべて移ろいゆくものは、
 比喩にほかならず。
 足らわざることも、
 ここにて高き事実となりぬ。
 名状しがたきもの、
 ここにて成しとげられたり。
 永遠の女性、
 われらを高みへ引きゆく。
    (手塚富雄訳)


 移ろうものはみな、
 たとえにすぎない。
 地上で力およばなかったことが
 この天上でできごととなり、
 名状しがたいものが
 ここに成しとげられた。
 永遠の女性が
 われらを引きあげて行く。
    (高橋健二訳)
   
posted by Sachiko at 22:25 | Comment(2) | 未分類