(文/ベアトリス・シェンク・ド・レーニエ 絵/アイリーン・ハース)

― ひとには だれでも、
そのひとだけの ちいさないえが ひつようです ―
それは、子どもたちがお父さんやお母さんといっしょに住んでいる家のことではなく・・・秘密の家になるところは、いくつもある。
クロスの掛かったテーブルの下、誰にも見つからない木の上、大きな傘、藪の後ろのくぼみ.....
― なかまといっしょに すごすのは、
たのしいものです。
おとなのひとと いっしょに すごすのも、
たのしいものです。
それでも、ときどき あなたは、
みんなとはなれて ひとりになりたいと、
おもうときがありますね ―
そんな時に、自分だけの小さな家があったら....
椅子の後ろのすみっこ、大きな帽子、お面をかぶること...
お父さんのひざにすわることは、たのもしい、小さな家
お母さんの腕に抱きしめられることは、やすらぎの、小さな家...
そして、大切なことは、人が、その人だけの小さな家にいるときは、むやみに話しかけたりしないこと、ひとりにしてあげること。
話しかける必要があるときは、そっとノックし、静かに話しかけること、礼儀正しく....
― ひとには だれでも そのひとだけの
ちいさないえが ひつようです ―
とても大切なことが書かれている、小さな絵本。
テーブルの下だったり、傘の中だったり、小さな家は、外側から見るととても小さいけれど、ほんとうはとても大きい。
きっと、聖堂と呼ばれる建物よりも、もっと厳かで、もっと大きい。むしろ、聖堂はこの場所を外側で目に見えるかたちにしたものなのだ。
さまざまな小さな家を持っていた子どもたち、大人になっても、どうかその場所のことを忘れずに。