2019年08月22日

森の子どもたち

「ムーミン谷の夏まつり」より。

公園には、捨てられたり迷子になったりした24人の子どもたちがいた。
公園番夫婦がめんどうを見ていたようだが、子どもたちはやはり『べからず』がきらい。草の上で跳ねたりしたいのだ。

禁止立て札をすっかり抜いてしまったことで、スナフキンは子どもたちを救ったヒーローとなる。
「さあ、みんな、すきな場所に行っていいんだよ!」と言っても、子どもたちはスナフキンにまとわりついて離れない。
スナフキンはこうしていきなり24人の子どもの父親役になった。

モミの木と葉っぱで小屋を作ってやったり、フィリフヨンカの留守宅に入り込んで樽の中の豆を食べさせたり、子どもたちの服を洗濯したり、白い花が咲いているのを見て、あれがカブ畑だったら...と思う。
父親になるとこんなふうになってしまうのか、と考えながら、スナフキンは眠っている子どもたちを眺める。

「ムーミン谷の夏まつり」は、幾つもの違う出来事や人々がすれ違い絡みあい、何でもありのドタバタ劇のようだ。
そして文字通り、劇場ではムーミンパパが脚本を書いた劇が演じられている。

劇場のビラを手に入れたスナフキンは、豆を入場料代わりにして子どもたちを劇場に連れていくことにしたのだが、「みんな僕の子どもだと思われたらいやだな...」などと思いながら、子どもたちに明日食べさせるもののことを考える。
スナフキンのこの珍道中はなんとも可笑しい。

そして実際に劇場で起きたドタバタのさなか、スナフキンはボートに乗ってこぎ出す。
「さようなら、ぼくの子どもたちよ!」

ムーミンママによれば、何人かの子どもたちは劇場に残り、何人かはフィリフヨンカの養子になるらしい。

ムーミン谷には、何ごとが起ころうと、いつも何ともいえない安心感がただよっている。暗く冷たいモランや、杓子定規で自由がきらいな公園番がいる自由もある。

暗いものや危険なものさえも排除されず、はるかな星空のような大きなものに、すべてが受け入れられていると感じられる安心感だ。それで、時々ふとこの場所に帰りたくなる。
  
posted by Sachiko at 22:02 | Comment(2) | ムーミン谷