2019年07月24日

贈り物・2

「プレゼントされなければ手に入らないものが確かにある。そんなとき、プレゼントされる者は、プレゼントを受けるにふさわしい態度をするだけでいい」(ミヒャエル・エンデ「オリーブの森で語りあう」より)

この話は、人間と高次存在とのあいだの話だ。
人間の力でどうあがいても事態が八方塞がりに見えるとき、不意に、ひとりでに生じたかのように何かが与えられることがある。

そのような贈り物があるのを信頼することは、忘れていた源とのつながりを思い出させる。

贈り物にまつわる、いくらか苦い思い出がひとつある。
昔、当時入院していた年長の知人から、私の誕生日にプレゼントを渡したいので取りに来てほしいと連絡があった。

相手は入院しているのだから、こちらも何か持って行かなくちゃ!と、私もプレゼントを用意したのだが、少々気合を入れすぎたようだ...(持って行ったのは、何組かの手描きのグリーティングカード)

結果、受け取りに行ったはずがなんだかプレゼント交換のようになってしまい、その時、相手がふっと寂しそうな表情になったのに気がついた。
私は完全に受け取らなければいけなかったのだ。

あらゆるものが商品になってしまった時代でも、贈り物を与え、受けとることは、もちろん「取引」とは違う次元にある。

ミヒャエル・エンデは最晩年にこんなことを言っていた。

「最も価値あるものは、すべて無償で与えられている」

大地、水、空気、エネルギー...
生命、存在そのもの、この世界の大いなるすべて....

古く賢い民族のように、感謝と畏敬をもって受けとり、返礼はそれらを祝うこと。そのようにして人類は幸せでいられたのではなかったか、と思う...
  
posted by Sachiko at 22:00 | Comment(2) | 言の葉