2019年07月06日

「CARRIE HEPPLE'S GARDEN(カーリーおばさんのふしぎなにわ)」

これも、夏の夕刻の不思議な雰囲気がただよう物語。
「カーリーおばさんのふしぎなにわ」というタイトルで日本語版が出ていたことがあるが、絶版になってしまった。

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復刊COMにリクエストしたあとで、あまり状態のよくない英語版の古本をなんとか手に入れたが、これももう見つかりにくい。
アイリーン・ハースの絵がとても美しく、独特の雰囲気のある絵本なので、復刊を願う。
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夏の夕方、みんなは芝生でボール遊びをしていましたが、ボールは壁をこえてカーリーおばさんの庭へ入ってしまいました。

夜遅くにジャングルのような庭にいる、もじゃもじゃ髪のカーリーおばさんが、みんなはすこし怖いのです。

一番小さい勇敢な子が、板の割れ目から庭に入り、みんなも続きました。
ボールを見つけて取ろうとしたとき、カーリーおばさんの靴が見えました。

「あんたたちはここで何をしているの?」
「わたしたち、ボールをとりにきたんです。それだけです」

カーリーおばさんは言いました。
「さて、あんたがたはもうこっちに来たんだから、不思議なことのひとつやふたつ、見せてやってもいいだろう」

不思議なこととは何でしょう?
みんなはおばさんについて行きましたが、そこには鉢植えのナスタチウムがあるだけです。

そしておばさんは話しました。
「これは私には不思議なのさ、そしてきっとみんなにもね。
ナスタチウムの種は、1582年にペルーからイギリスの庭にやってきたんだよ」

「さあ、よく見なさい!」
みんなは庭をまわると、魔法のような光景を見ました。青い星のまわりを、緑いろの霧が立ちのぼっています。

緑いろの葉っぱがやさしく青い花を抱いている、ニゲラ(クロタネソウ)の花です。
「これの名前は「霧の中の愛」というんだよ。緑いろは霧、そして愛は青」

陽が沈み、風が吹き始めました。
カーリーおばさんは言いました。
「みんな、もう行きなさい。でもその前に何か食べなきゃね」

つぼから出てきたのは、スパイスの香りがする特別なパンです。
「わたしは楽しいときにこれを作るのさ。いい子たち、さあ行きなさい」

「さようなら、ありがとう、カーリーおばさん」

芝生に戻ったみんなは、ボールを忘れてきたことに気がつきました。

「眼鏡に気をおつけ!(※子どもたちのひとりは眼鏡をかけている)」壁の向こうから声がして、ボールが高く飛んで返ってきました。

「どうもありがとう、カーリーおばさん!」

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全編、夏の夕方の空気を感じる、緑色ベースの美しい絵だ。
ニゲラの話が出てくるが、ニゲラの群生を遠くから見ると、繊細な葉は立ちのぼる緑のミストのように見えるかもしれない。
久しぶりにニゲラの種をまいてみたくなった。

怖そうだと思っていたおばさんと子どもたちが仲よくなる話の絵本は他にもある。それも近いうちに。

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posted by Sachiko at 22:01 | Comment(2) | 絵本