2019年05月06日

逆さまの植物

ウルスラ・ブルクハルト「Karlik−Encounters with Elemental Beings」から。

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「ある時私が森にいると、枝が私の顔と髪をこすりました。
『木が足で君に挨拶しているよ』と、カルリクは笑いました。」

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彼女はカルリクが何を言おうとしているのか理解できなかった。
カルリクは、ノームにとって人間は逆さまの植物であり、植物は逆さまの人間なのだ、と説明した。

植物の根は彼らの頭で、つまり頭は地面の中にある。植物は、頭から空に向かって成長する。樹冠と呼ばれるものは、彼らの足なのだ。

このように見ると、人間は天から地へと逆に成長しなくてはならない。小さな子供たちは、すでによく発達した大きな頭を持ち、これを根と見なすなら、彼らは足のほうへ成長すると言える。
でもほんとうに人間は天から地へ成長すると言えるだろうか?

カルリクはこう答えた。
「人類は天の世界を地上に持ってくることになっている。だから人間は足のほうへ成長しなければならない。」
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「後になって私は、ルドルフ・シュタイナーの著作の中で、人間を逆さまの植物として言及しているのを見つけました。カルリクは、彼がすでに他の方法で知っていることが書かれた『思考の箱』(※カルリクは本のことをこう呼んだ)に、とても満足していました。」

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人間は逆さまの植物であるという話は、私もシュタイナーの本の中で読んだことがあるが、何の本だったか忘れてしまったので、今ここで詳しいことは語れない。
人間の思考する頭が、植物の場合は根に相当するという図に、妙に納得したのは憶えている。

天と地のあいだのメタモルフォーゼについては、シュタイナー本人の著作ではないが、人智学系自然科学に基づく別の本の中にこのような話がある。

「地上のもの」と「地下のもの」は鏡像の関係にある。
植物の中でデンプンは分解して糖になり、上方では花の色や香り、蜜、オイル、薬効成分などになる。

下方へ向かうと、固化と鉱物化が進む。
こうして地下でできたコールタールなどから、人間の知性は、合成香料、合成色素、合成薬品などを作り出した。
この地下領域は、宇宙がダイナミックに創造するものの「鏡像」となって現れている。
(参照:「放射能とは何か」佐々木和子著)

この地下領域には、計算可能な出来事があるだけであり、緑に溢れ、花咲き、実りをもたらす現実のものとして現れることはない、と本は結ばれている。

人間の頭(知性)が根として地下領域に照応するならば、知性による計算可能な領域だけが肥大した文明は、根だけが肥大して花を咲かせない植物のようなものだろうか。

「人類は天の世界を地上に持ってくることになっている。」
カルリクの言葉が導きの糸のように響く。
  
posted by Sachiko at 22:11 | Comment(2) | ウルスラ・ブルクハルト