2019年05月02日

機械の霊

ウルスラ・ブルクハルト「Karlik−Encounters with Elemental Beings」から。

本の最後の章「回想」でウルスラは、元素霊たちに関する体験のすべては書き尽くせないとした上で、さらに幾つかのエピソードを語ることを試みる。

彼女は長い間バーゼルのラジオ局で、視覚障害者のための番組を企画する仕事をしていた。最初のレコーディングの時、スタジオの中ですっかり緊張していた彼女は、マイクの中の存在に気付く。

そこにはノームに似た存在がいて、ふてぶてしい態度で彼女をからかってきた。その存在はドワーフのように利巧すぎるため、自分の賢さの罠にはまったような哀れな状態にあった。

「ぐずぐずしないで、彼のほうに向かって話しなさい」
その時やってきた考えは、カルリクからのアドバイスだと感じた。

会議の後でプロデューサーは、彼女にマイクの位置を知らせるのを忘れていたにもかかわらず、なぜわかったのかを不思議がっていた。彼女は説明に窮したが、彼が「偶然だな...」とひとりで納得してくれたのでほっと溜息をついた。カルリクは笑った。

機械の中のノームのような存在は、それもまた元素霊たちの一種に見えるのだが、生命あるものすべてから切り離されていた。
彼らの過剰な賢さのために、機械の中に閉じ込められているようだった。
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「彼らは自分自身の囚人であり、彼らが奉仕している人々から、他の元素霊のように注目されません。
私は彼らの働きに感謝し、心に留めておくよう努めなくてはいけないのですが、他の元素霊の場合のように自然にはそうなりません。」

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これはとても興味深い話だった。
生命あるものから切り離された、機械の中の霊性(に似たもの)。ミヒャエル・エンデの、「近代以降のテクノロジーの産物は、内的イメージにならない」という話を思い出す。

文明はもはやテクノロジーなしではやって行けないのに、それらはまだ人間の内面にとって異質だ。テクノロジーが形を変えるのか、それとも人間が、それらを受け入れられるように内界を変化させていくのか...
答えを出す前に、エンデはこの世を去った。

機械の中に閉じ込められた霊がいるのなら、その存在も、機械に向かう人間も、まだ互いに孤独なのだ。
この話は明日も続く...
  
posted by Sachiko at 22:06 | Comment(2) | ウルスラ・ブルクハルト