2019年05月25日

水の精

『Lord of the Elements』(Bastiaan Baan著)から。
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ニンフ、ウンディーネ、ニクスなどと呼ばれる水の精は、水の要素のある至る所に棲んでいる。
ドイツのネッカー川は、ネッカーと呼ばれた水の精にちなんで名づけられた。

水の精は、流れる水の中だけでなく、地面から立ち昇る靄や、草の上に結ぶ露の中にもいるが、特に大波など激しく動く水の中を住処とする。

シュタイナーのカルマ論講義の中で、波、光、霧、そして空気の間に特別な作用のある場所のことが記されている。
アーサー王のティンタジェル城があるコーンウォールの岬では、波が常に動き、光、空気、霧の自然霊が止むことなく活動している。

ニンフたちはとりわけ、空気の精シルフたちと活発に戯れる。
水と空気と光の相互作用は、まだ古い霊視能力を有していたアーサー王の騎士たちに深い印象を与えた。

シュタイナーは、12人の騎士の中のひとりは自然霊たちの戯れに深く入り込んだため、次の生では自然を描く能力を持って地上に戻って来たことについて語っている。

それはスイスの画家アーノルド・ベックリンで、有名な彼の海景においては、自然の背後に隠された霊たちの存在も描かれている。彼はあらゆる水の精たちのいる壮大な海の風景を描いた。

ある人生の中で自然から深く印象づけられたものは、次の人生において芸術的能力になる。

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草の上の露にも、水の精がいる....
朝露が光にきらめくようすがあんなに美しいのは、水の精の働きだったのか....
このような美のあるところには、水と光と空気の精たちが戯れながら踊っているのだろう。

アーサー王の歴史的な実像はよくわかっていないが、この話からすると円卓の騎士も実在したらしい。

王たちの中で、特にアーサー王があの壮大な物語の主人公になり得た背景には、詩人にインスピレーションを与えた自然の精たちの働きが実際にあったのではないかと思わせる。
   
posted by Sachiko at 21:06 | Comment(2) | 妖精
2019年05月24日

地の精たちの名前

懲りずにまたこんな本を買ってしまったのだが....
『Lord of the Elements』(Bastiaan Baan著)

lord.jpg

届いてみたらけっこう分厚かった(>_<;
230ページ超の本を1ページ目から一字一句訳す気力はなく....
わからないところはすっ飛ばして、概略がわかればいいか....と、適当なところから読み始めた。

その中の、パラケルススが述べている四大霊の話から、地の精について。

『…ピグミーという名前は、元はアフリカの民族名ではなく、ノームやコーボルトといった地の精たちを指していた。
鉱物の「コバルト」の名前がコーボルトに由来することを、多くの人たちは忘れてしまっている。昔、コバルトはコーボルトからの贈りものと見なされていたのだ。

地の精たちは、土地が変われば違う名を持つ。
スカンジナビアではトムテ、ロシアではカルリク(!)、オランダではカボウター、スコットランドではブラウニー、アイルランドではレプラホーン....

これら地の精たちは、自然界の多くの場所を住処とするだけでなく、人間の家にも住んでいる。
ドイツやオーストリアにいる“ヴィヒテル”は、家の小人だ。

地球上のどこでも、私たちは地の精たちに出会う。
岩石や鉱物、金属の鉱脈、根の中...そればかりか家の中においても。石や木や金属は、それぞれに結びついた霊的存在を持っている。』


カルリクの名前が出てきた♪
トムテ、ブラウニー、レプラホーンなども、伝説や物語の中でおなじみの名前だ。
コバルトの語源がコーボルトだとは知らなかった。

地の精の仲間たちが、水の精や空気の精よりも物語に登場することが多いのは、やはり彼らが人間と関わりたがっていて身近に知覚されやすかったからだろうか。
カルリクの名前が出てきたように、この本ではウルスラ・ブルクハルトについても少し言及されている。

サブタイトルに「キリスト教と自然を織り合せる」とあるように、この内容では日本語版は出そうもない。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンのことや、カバラや錬金術の話、神話や詩、霊視者が描いた精霊たちの絵など、あやしくも興味深いものが盛りだくさんで、これも楽しみ♪
  
posted by Sachiko at 21:49 | Comment(2) | 妖精
2019年05月22日

庭の訪問者たち

ライラックの木に2羽のヒヨドリが来ていた。雌雄同色ということなので、つがいだと思う。
心の中で「いらっしゃい、よく来たね♪」と言うと、1羽がそばに飛んできた。もう1羽は少し離れたところでこちらを見ている。

ヒヨドリをこんなに近くで見たのは初めてだ。
尾が長く全体が地味な灰色、頭の後ろ側の毛が寝ぐせみたいにボサボサになっているのがかわいい。
飛ぶときには一度翼を閉じて、波打つように滑空するのですぐわかる。

首がすらりと長い灰色の大きめの鳥が頭上を飛んで行ったが、これは名前がわからない。水鳥のようだけれど、こんなのは初めて見た。


今年は春先から白い蝶がたくさん飛んでいる。いつものモンシロチョウだと思っていたら、翅脈が黒い。スジグロチョウの仲間だと思うが特定できない。
せわしく飛び回ってなかなか止まらないのでじっくり見ることができなかった。

小さなベニシジミも帰ってきた。春型は赤い色が鮮やかだ。
(飛ぶものを写真に収めるのは難しく、画像はなし...(-.-;)
ともかく、こうしてまたおなじみの生きものたちが見られる季節になった。

これはまるで関係なさそうに見えるダイコンの芽だけれど....

daikonnome.jpg

アブラナ科の植物はモンシロチョウの食草なのだ(食べられないように気をつけなくては)。
双葉のかたちは蝶に似ているが、これは偶然ではないようだ。

 植物を見てごらん
 それは大地に繋がれた蝶々
 蝶を見てごらん
 それは宇宙によって解き放たれた植物
(丹羽敏雄「百合と薔薇」から、シュタイナーの言葉)
  
posted by Sachiko at 22:39 | Comment(2) |
2019年05月21日

アマの花

淡いブルーのアマ(フラックス)の花が咲いている。

ama.jpg

一日花なので、朝咲いた花は午後にはしぼんでしまうが、開花期には毎日次々と咲き続ける。
茎も葉も花もとても繊細で、風に揺れる姿は可憐で美しい。

これは観賞用アマで、繊維用のアマはもっと背が高い。高さのほかは見た目はほとんど同じだ。
メルヒェンに出てくる糸紡ぎの話も、紡ぐのはたいてい亜麻の繊維だ。

中世ヨーロッパではまだ綿は高価で普及していなかったから、普通の人々が着ていたのは麻や羊毛の服だったはずだ。
中世を題材にした映画などで見る衣裳はゴワゴワして着心地が悪そうだが、上質のリネンならなめらかで光沢がある。

ターシャ・テューダーの本に、亜麻の種をまいて育て、繊維をとり、紡いで織って、シャツを縫い上げたときには素晴らしい達成感を感じたという話が載っていた。

やってみようかという考えがチラと浮かんだが、やめておいた。茎を刈り取り、水に漬けて発酵させてから繊維をとるプロセスがかなり大変で、手に負えるものではなさそうなのだ。

昔の人も繊維をとるところまでは分業で、女性たちは繊維の束を手に入れて紡いでいたのだろう。
そして、こういう仕事には助けてくれる妖精たちもついていたはずだ。

このような繊細な植物から丈夫な繊維がとれる。
人間の暮らしに必要なものは、本来自然界にすべて用意されているというのは確かだと思う。
  
posted by Sachiko at 22:22 | Comment(2) | 自然
2019年05月20日

「かもめ食堂」

先日あるところで、久々にこの映画の話題になった。
もう10年以上前の映画だけれど、独特の雰囲気が印象的だった。

お客が来ても来なくても、店主のサチエは日々のルーティンを続ける。
いつも外から店の様子をうかがう年配の女性たちは、なかなか店に入ってこない。

最初の客になったのは日本オタクの青年で、ガッチャマンの歌詞を知りたいという。
歌詞を教えてくれたミドリさんという奇妙な女性が店を手伝うことになる。ムーミンの物語でミイとスナフキンは姉弟なのだと教えてくれたのも彼女だ。
そして、空港でスーツケースを失くしたというマサコさんも仲間に加わる。

これといった事件が起こるわけではないのだが、やはり魅力は“空間”だろうか。
ひとりひとりのまわりにある、ゆったりとした空間。

パーソナルスペースというものがある。
個人が自分の周りに必要とする物理的・心理的空間のことだが、北欧の人々はこれが広いそうだ。(私もかなり広いスペースが必要...)

なぜここの人々はゆったりと暮らせているのかという問いに、オタク青年トンミは答える。
「フィンランドには、森があります」

森....
そう聞いてマサコさんは森に出かけたが、採ったキノコはなぜかなくなってしまう。
スーツケースが戻ってきた時、中は失くしたキノコでいっぱいだった。北欧ではおなじみのアンズタケ、それが金色に輝いている。
何かの象徴なのか、なんともファンタスティックな情景だ。

フィンランドの森と透明な空気と、濃いキャラクター(笑)の人々。
森も湖も、冷んやりと澄んだ空気も、ムーミンの物語も古くならない。
私の好きなこの映画も、まだ古くならないと思う。
  
posted by Sachiko at 22:01 | Comment(2) | 映画