2018年12月10日

「セシのポサダの日」

「セシのポサダの日」
メキシコを舞台にした、珍しい南国のクリスマス絵本。

posada.jpg
--------------------------------

ポサダは、クリスマス前の9日間に、毎晩違う家で行われる特別なパーティです。

セシはもう大きくなったので、セシのポサダをしてもらえることになりました。セシのピニャタを買ってもらえるのです。

ピニャタは、土でできた壺に紙を貼って作った、鳥や動物などいろいろな形の、張りぼてのような人形で、その中にお菓子やくだものをいっぱい詰めます。

ある日セシは、おかあさんとピニャタを買いに行き、大きな星の形のピニャタを選びました。
小さな女の子のはじめてのポサダに選ばれたピニャタには、よくすばらしいことが起こるのです。

庭の木と木の間のロープを張り、ピニャタを吊るして、目隠しした子どもたちが棒でそれをたたいて割ります。でもセシは、このピニャタをこわされたくありませんでした。

暗くなると、ポサダの行列がはじまりました。セシは、いとこのマニュエルと、ヨセフとマリアとロバの人形を持って先頭を進みます。
行列が家のドアをノックすると、中の人たちは「だめよ、おやどは、いっぱいよ!」と歌いますが、しまいにはドアが開けられます。

子どもたちはピニャタをたたき、とうとう割られてしまいました。
「割っちゃったんだわ!」セシは、じっと立っていました。
すると上のほうからセシを呼ぶ声が聞こえました。そこには、きらきら光る星が見えました。

「なかないでね、セシ、かわいい女の子がはじめてのポサダにえらんでくれたから、わたしはいま、ほんとうの星になったのよ」

セシが見ていると、その星は空高く飛んでいきました。
ほんとうのお星さまなら、だれも割ることはできないわ....セシは、あたらしい星をひとつ作ったのです。

--------------------------------
ポサダは、元々は宿屋を表す言葉だったのが、やがてこのお祝い事を指す言葉になったそうだ。

ヨセフと身重のマリアが宿を探し、どこも断られ、うまやでイエスが生まれる。この聖誕劇は多くの場所で行われ、この場面を表したクリッペも飾られる(これは我が家にもある)。クリッペは飼い葉桶の意味らしい。

雪がなくてもモミの木がなくても、その土地の文化の色をまといながら、クリスマスはどこでもやっぱりクリスマスの雰囲気なのだな...と感じさせる。
それでもやっぱり冬のクリスマスが懐かしい人たちがいて、オーストラリアでは7月にもクリスマスをやるという。

この絵本は、「もりのなか」「また もりへ」などのロングセラー絵本で知られるマリー・ホール・エッツの作。
 
posted by Sachiko at 22:55 | Comment(2) | 絵本