「ムーミン谷の冬」より。
林の中で、夜の闇とさびしさに怯えながら道を急ぐムーミンの目に、小さなあかりが見えた。
雪玉を積み上げた中にろうそくを灯したランプの向こうで口笛を吹いていたのがトゥティッキ(邦訳:おしゃまさん)だった。
「わたし、北風の国のオーロラのことを考えてたのよ。あれがほんとうにあるのか、あるように見えるだけなのか、あんた知ってる?…」
ムーミンは、空に輝いている緑色のカーテンをながめて言った。
「ぼく、あれはたしかにあると思うな。」
オーロラは、実在するプラズマが発光しているのだからあるのだろうけど、あらためて言われると一瞬迷う。
虹は、そこに実在しない。そう見えるだけなのだ。でもそれを「ない」と言ってしまえるのか....
オホーツク海側など北海道東部では、10年に1度くらいオーロラが観測される。気象条件なども関係するので、実際に見られる頻度はもっと少ないらしいが、母が子どもの頃見たと言っていた。「オーロラだ!」という近所の人々の声で外に出ると、赤い光がぼうっと拡がっていて、火事かと思ったそうだ。
北海道で見られるのは低緯度オーロラといって、赤い光だけだ。
アラスカや北欧など高緯度の場所で見える緑のカーテンは、オーロラができる上空の中でも低い位置にあり、高い位置のオーロラは赤い色をしている。低緯度地域からは、この赤い部分だけが見えるのだ。
「…あんた知ってる?ものごとってものは、みんな、とてもあいまいなものよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけれどもね。」
こうしてムーミンは、冬の案内人トゥティッキに出会った。
ムーミンが、帰ろうとするトゥティッキについていくと、そこはムーミンパパの水浴び小屋だった....
トゥティッキが作っていた雪玉のランプは、北国ではよく知られた遊びで、ターシャ・テューダーの本にも出てくるし、私も作ったことがある。
雪玉を作るには、ある程度の湿雪でなくてはならず、パウダースノーはさらさらしていて固まらない。
子どもの頃、パウダースノーで雪玉を作ろうとすると、全部手袋にくっついて崩れ落ちてしまった。
雪の話はまだ続く.....
2018年12月06日
オーロラ
posted by Sachiko at 20:46
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