2018年10月31日

ジャック・オ・ランタン

ハロウィ〜ン♪
こんなことは、別にやらなくてもいいことなのだけどね^^;
ずっと雨が降っていたけれど、夕方になって止んだので灯りを入れた。

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ハロウィンが終わると気分は一気に冬モードだ。
もう山は雪を被って白くなっている。

まだ日本にハロウィンが上陸していなくて、ハロウィンという言葉を知っている人も少なく、こんなオレンジ色のかぼちゃも売っていなかった頃、ふつうのかぼちゃをくり抜いてジャック・オ・ランタンを作り、窓辺に出しておいたことがある。
かなりあやしかったと思う....
 
posted by Sachiko at 21:16 | Comment(2) | 季節・行事
2018年10月30日

ジョン・エヴァレット・ミレイ

ラファエル前派の主要メンバーのひとり、ジョン・エヴァレット・ミレイ。
バルビゾン派のミレーと区別するためか、“ミレイ”と表記されることが多い。

ラファエル前派の画家は好んでオフェーリアを描いているが、中でもよく知られているのがこのオフェーリアだ。

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私が好きなのはこの絵。可愛い。
〈木こりの娘〉
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〈盲目の少女〉
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ラファエル前派は、絵画史的に見れば主幹ではなく枝なのかもしれない。でも美しい巨樹を幹と枝に分けてどうする。これは特別に美しい枝で、私は好きだ。
 
posted by Sachiko at 21:24 | Comment(2) | アート
2018年10月29日

「ケニーのまど」

モーリス・センダックの絵本「ケニーのまど」

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ケニーは、半分が昼で半分が夜という不思議な庭の夢を見た。
4本足の雄鶏から7つのなぞなどを出され、「ぜんぶ答えたらこの庭でくらしていいんだね?」ときいたケニーは、返事をもらわないうちに目がさめてしまった。
でもなぞなぞを書いた紙は、パジャマのポケットにちゃんと入っていた....

なぞなぞは、6つまで答えがわかっていたけれど、7つめだけはまだだった。

「ねがいごとをしてから、きもちが かわること ないか?」

ケニーはとうとう答えがわかった。
半分昼で半分夜の庭に住みたいと思っていたけれど、ほんとうは住みたくなかったことに気がついたのだ。
全部答えられたので、雄鶏からどんな望みもかなえてもらえる。ケニーは、一頭の馬と、友だちが泊まる特別室のついた船がほしいと言った。

雄鶏は、望みはすでにかなっていて、遠くの海辺にあるという。
遠すぎるというケニーに、雄鶏は言った。

願いごとをしたから、きみはもう途中まで行っている。願いごとは、行きたいところへ途中まで行ったのと同じなんだ....と。


ケニーのなかよしのおもちゃは、クマのぬいぐるみのバッキィと、ふたりの鉛の兵隊(宮殿の衛兵スタイル)。ケニーは、バッキィともふたりの兵隊とも話をすることができる。持っているゲームは、昔ながらのボードゲーム。
コンピュータゲームなどなかった1950年代に書かれた、静かで不思議な気分のただようお話だ。

幼いころから神秘の世界への興味を持っていたというセンダックは、ジョージ・マクドナルドの作品にも挿絵を描いたことがある。

こうして、そんなことは知らずに全く別々にやってきたはずの本がどこかでつながるのは、これも見えないクモの糸のしわざだろうか。
 
posted by Sachiko at 21:17 | Comment(2) | 絵本
2018年10月28日

3つの脱出の話

1つめは、よく知られる芥川龍之介の「蜘蛛の糸」。
地獄に落ちたカンダタが、釈迦の慈悲によって1本の蜘蛛の糸を下ろされ、それにつかまって上がろうとするのだが、下から大勢の罪人たちが連なってくる。カンダタがこれは自分だけの糸だと叫んだとたん、糸が切れて落ちる。

2つめは、スウェーデンの作家セルマ・ラーゲルレーヴの「わが主とペトロ聖者」。
母親が地獄に落ちていることを嘆き悲しむペトロのために、主は天使をつかわし、天使はペトロの母親を抱えて天国に連れてこようとする。大勢の亡者が自分も救われようと母親にしがみついた。だが母親は亡者たちをひとりずつ身からもぎ離し、最後のひとりが落ちたとたん、天使は悲しげに母親を見下ろすと手を放し、落としてしまった。

3つめは、ミヒャエル・エンデの「鏡の中の鏡」から、迷宮の都市を脱出しようとする若者の話。

脱出には掟があった。「迷宮を去る者だけが幸福になれる。だが、幸福な者だけが迷宮から逃げ出せる」という逆説的なものだ。

脱出するには試験を受けなければならない。課題はひとりひとり異なり、何が自分の課題なのかを発見すること、それが課題なのだった。

若者は漁網だけを身にまとっていた。彼の幸福にあやかりたいと思う不幸な者たちがやってきて、持ち物を網に絡ませた。若者はそんなことで親切ができるならと、それらを次々と引きうけた。
網は重くなった。彼は自分の課題を理解したと思っていた。

海辺で、他の者たちが試験の合格を告げられている声が聞こえた。
彼は合格しなかった。
服従しないことが、彼の課題だったのだ.....

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「彼は自分の課題を理解したと思っていた。」

エンデのところには読者から「彼はあんなに親切にしたのになぜ試験に落ちたのですか」という質問が来たそうだ。
エンデは「あと10回読んでみてください」と答えたという。

私が「鏡の中の鏡」を最初に読んだのはずいぶん昔のことで、当時は…頭が痛くなった。とりあえず通常の読み方はできないのだということだけはわかった。その後も10回は読んでいない。

今も、この本は従来の悟性的な思考や、まして古い道徳律などとは別次元の物語だと思っている。たぶん、説明できる言葉はないし、説明しようとか解釈しようと思うと、道に迷うだろう。

夜明けのような、予感のような、未来の物語....
まだ生まれていない言葉によってなら語ることができるだろうか。でもそんな解釈すら要らないな、きっと...
 
posted by Sachiko at 21:08 | Comment(2) | ファンタジー
2018年10月27日

アーサー・ヒューズ

アーサー・ヒューズ(1832―1915)
ラファエル前派の画家とされているが、正式なメンバーではなかったようだ。

ジョージ・マクドナルドと親交があり、多くの作品で挿絵を描いている。「お姫さまとゴブリンの物語」も、岩波版の表紙は竹宮惠子さんが描いているけれど、中身の挿絵はアーサー・ヒューズによるものだ。

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「北風のうしろの国」も、古いハヤカワ版のものは、挿絵だけでなく表紙もアーサー・ヒューズの絵が使われている。(この物語の中身についてはまた別の機会に)

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以下、いくつかの作品。

代表作と言われる〈4月の恋〉。私もこれが一番好きだ。

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〈受胎告知〉

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〈オフェーリア〉

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アーサー・ヒューズは、穏やかで幸せな家庭を愛したシャイな人だったという。マクドナルドが描く、女神のような神秘的な女性性にも、共感が深かったのかもしれない。
 
posted by Sachiko at 22:37 | Comment(2) | アート