2018年07月03日

戦わないヒーロー・3

ルーシー・M・ボストンの『グリーン・ノウ物語』全6巻。
あの指輪物語やナルニア国物語やゲド戦記を差し置いて、私が個人的に一番好きなファンタジーだ。

作者が実際に住んでいたマナーハウスと呼ばれる古い家が舞台なので、家の内部や庭のようす、近くを流れる川など周囲の景色もとてもリアルで、いつもながら自然描写が美しく、それがこのシリーズの魅力でもある。

シリーズはそれぞれが関連しあっているけれど、独立した物語としても読める。今回は第5巻「グリーン・ノウの魔女」から。

オールドノウ夫人が暮らすグリーン・ノウ屋敷ではいつも不思議なことが起こるが、その不思議さはけっして邪悪なものではなかった。
が、ある時、屋敷を乗っ取ろうと企むメラニー・パワーズという人物(実は魔女)がやってきて、グリーン・ノウに危機が訪れる。

オールドノウ夫人の孫のトーリーと、夫人が養子にした中国人難民のピン(3、4巻で登場する)の二人の少年たちが、この魔女に立ち向かう。

剣を振り回すのでも、何か相手を傷つけるようなことをするのでもない。
注意深く相手の正体を見破り、知恵をはたらかせ、不穏なものに対する自分の感覚を信じる。そのためには、自分の中心にまっすぐなものが通っている必要があるのだろう。

「グリーンノウの女主人と子供たちは、正しい礼儀を守りながら、人間としての全力をふりしぼって、これと戦います」---訳者あとがきより---

人間としての“在り方”によって、最終的に悪の力を退ける姿は、スリリングな展開の中で力強く美しい。

戦わないヒーロー、ここでの戦わないというのは、暴力的な手段をとらないという意味だ。
大好きなグリーン・ノウ物語。他の巻についても大いに語りたい思いがあるけれど、それはまた別の時に。
 
posted by Sachiko at 20:59 | Comment(2) | ルーシー・M・ボストン