2018年06月17日

エッダ

北欧神話には思い入れがある。

―ユグドラシルという名のトネリコの大樹が立っているのを、私は知っている―
(巫女の予言-19)

まだ13歳の中学生の時、ユグドラシルの名を初めて聞き、その響きに、雷に撃たれたような衝撃を受けた。何だったのかわからない。ただ名前を聞いただけなのに。

その先端に宇宙の中心があるという宇宙樹ユグドラシル。大きく張った根と、うねるように聳える巨樹のイメージが浮かんだ。

もっと知りたかったけれど、当時はまだ文献も少なく、かろうじて、岩波文庫版ギリシャ神話の後ろに、おまけのように北欧神話のダイジェストが少しばかり載っているのを見つけた。
以来、この神話は私の中に住み始めた。


エッダにはもうひとつ別のお楽しみがある。
同じく巫女の予言に出てくる小人たちの名前だ。

ドゥリン、スラーイン、ドヴァリン、フィーリ、キーリ....そしてガンダールヴ!(表記は「エッダ--古代北欧歌謡集」新潮社刊より)
訳注では、ガンダールヴ(Gandalfur)は、「魔法の心得ある妖精」とある。指輪物語でおなじみの名前の数々...そのルーツがここにあったことも確かめられる。


世界の神話はみな似通っている。人には神話が必要なのだと私は思う。それらは現代人がふだん触れない領域に響いてくる。魂の深奥、おそらくは最も古い深みにおいて、古い木の根のように横たわるもの.....
その深みから吸い上げる、特別な滋養がほんとうは必要なのだ。
  
posted by Sachiko at 22:09 | Comment(2) | 神話・伝説